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真空アークプラズマ薄膜作製装置の計算

最近複数のメーカー様から真空アークプラズマによる薄膜作製装置の計算が可能かというお問い合せを頂きました。その際の回答を参考のため、ここにも書いておきたいと思います。

計算の目的や装置のパラメータにもよりますが、真空アークプラズマでの薄膜作製装置の計算というのは複雑で、完全にはシミュレートすることはできず、ある程度仮定に基づいた近似的な計算になります。弊社で扱っております荷電粒子軌道解析ソフトOmniTrak(3次元解析)Trak(2次元解析)は、基本的に真空中のイオン/電子が電場・磁場によりどのような軌道を描くかを計算するソフトですので、中性粒子やプラズマ自体をシミュレートする機能がないためです。
 
従いまして、中性粒子との衝突、電子との再結合などの影響は基本的に考慮できません。またイオン軌道付近に存在する電子による空間電荷や電流の中和については、中和の度合いをユーザー側で指定して計算することになります。Trakではこの機能がコマンドとしてありますが、OmniTrakではユーザー側で誘電率や磁場の値を大きくする等して近似することになります。
(詳細はTrakマニュアル11.5章をご参照下さい。Trakマニュアル:http://www.fieldp.com/manuals/trak.pdf )
 
この中和モデルによる計算は仮定に基づいておりますので、実験の結果と比べながら、この計算モデルが妥当か、またそうであれば妥当なパラメーターはどの程度かを見極めていく必要があります。
 
なお、イオンの種類に関しましては、複数の種類のイオンを設定することが可能で、イオン種毎のエネルギー分布を計算することも可能です。イオン放出は放出面を設定して、その面上から指定したエネルギーを持つイオンを放出させる形になります。
 
このような計算の実績についてですが、こうした装置の計算に利用されているお客様はおられるようです。ただ残念ながら、詳細はお知らせ頂いていないので、ちょっと分かりません。それから、弊社では今のところ薄膜作製装置の受諾解析の実績はございませんが、米国の開発元ではTrakを用いて行ったことがあります。その際は上記の空間電荷の中和を、空間の誘電率を高くすることで模擬しておりました。また私個人は以前他社の3Dのソフトを使って計算したことがあります。その際は中和の効果は無視して計算するという条件でした。